アン・リー アカデミー賞監督賞受賞

遅ればせながら、アン・リー監督、アカデミー賞監督賞受賞おめでとう!アジア人初だそうです!!めでたいのでここらで受賞スピーチを。


「いくつもらっても嬉しいよ!
実在はしないけど二人の主人公に感謝します。
彼らが生き生きと描かれたのは、アニー・プール(原作者)、ラリー・マクマートリー(製作&脚本)、ダイアナ・オサナ(製作&脚本)のおかげです。
イニスとジャックは、社会に受け入れられない同性愛者の愛と苦しみだけではなく
人の愛情のすばらしさを教えてくれました。
ありがとう。(会場から盛大な拍手が)


アカデミーに感謝します。
フォーカス・フィーチャーズの皆さん 
D・リンディ、J・シェイマス、B・ポラド、I・シュレック、J・ダペロ、D・リー
本当にありがとう。


妻ジェーン・リンと息子のハンとメイソンにも感謝です。
撮影中 私を支えてくれました。

この映画は誰よりも 亡くなった父に捧げたいと思います。

最後に母と台湾、香港、中国の皆さんに感謝します。」


最後は中国語で締めくくったアン監督のスピーチでした。
それにしても、アカデミーはやっぱり保守的なのでしょうか。ゲイのカウボーイ・ムーヴィーに作品賞はあげられなかったんですねぇ。プレゼンターを務めたジャック・ニコルソンが作品賞受賞は「クラッシュ」と読み上げた瞬間 会場からどよめきが起こってましたね。ニコルソン本人も驚いてました。それもそのはず。彼も「ブロークバック・マウンテン」に投票していたひとりだったからです。アフター・パーティ会場でインタビュー受けたアン・リーも、この映画がいろんなところで作品賞を受賞していたから少し残念ですねというようなことを言ってたと思います。


写真は’93年のベルリンにて。「ウェディング・バンケット」のみなさん。ここからいろいろ始まったのですね。

INSIDE FILM Magazine, Australia May2005

IFMagazine

「あなたがレストランに行くとしたら、その晩の成功は食べ物だけではないでしょう。雰囲気やサービス、デザイン、隣に座っている人々。もちろんあなたといっしょにそこへ行く人も。全てに関係してくるでしょう。」とウォン・カーウァイは説明する。「これが、私が映画を作るときのやり方なんだ。私の俳優たちは、彼ら自身の解釈でキャラクターを書き込むし、どのクルーのメンバーも制作に関する創作の自由を持っている。」 彼はしかし、もっと脚本家たちと仕事をしたいとほのめかしている。それは制作前の段階ではなく、映画を作っている最中に、ということだ。わたしは彼になぜ『2046』のときに脚本家と仕事をしなかったのか尋ねた。「誰も私と仕事しなかっただろうね!」と彼は謙遜して苦笑した。「この映画の制作には5年かかったんだ。長いだろ。」 『2046』の脚本は、常に作ってあり、制作中と制作後は、声をかぶせるナレーションに大きく依存した。
彼とドイルの関係は、とても緊密だ。「我々は映像効果について互いに議論し合ったりする必要はない。我々の仕事は非常に本能的である。私は彼の物を作る時のプロセスと映像センスを100%信用している。と同時に、彼のことはすごくこき使うんだけどね。全ての撮影監督がこういう仕事を楽しんでいるわけではない。私はいつも彼に、普通では撮る事のできないようなライトのコンディションを、彼のチャレンジとしてぶつけるんだ。とにかく彼は、すごい才能がある。」 
ウォンは彼のチームに多大な信頼をしているし、彼らの創造的な技術に多くを委ねている。それが彼の映画が、映画的に豊かで完成されている原因なのは間違いない。彼は、全てのものに影響されると言っている。しかしわたしは、彼の口から“ヒッチコック”という言葉を引き出すことに成功した。ヒッチコックというのは、彼に大きな影響を与えただろうし、次回作であるニコール・キッドマン主演の映画に大きな関わりがある。US$25mの映画、中国とヨーロッパで撮影されるこの映画は今年の後半撮られる。彼は、オーストラリアの映画の女神であるキッドマンを選んだ理由に、「彼女は危険であり、かつ危機の中にある。それがほとんど全ての理由だ。強さの強度と深い脆さが対置しうる品質だ。」
彼はキッドマンに照準を据えて秘密のストーリーのアイディアを考え、今回はセットで脚本家を使うことになるだろう。彼は言う。「最良の映画監督とは建築家のようなもので、別世界に繋がるまでを観客に提供するものだ。」 『2046』は驚きに満ちて、希望のない物語世界だ。だが、観客が逃げ込むには十分な価値があるロマンチックな準夢のような情景がある。

(オーストラリアで『2046』が2005年5月26日に公開されるにあたって行われた映画雑誌のインタビュー。その一部です。)

カーウァイとドイル

karwai&doyle

ニューヨーク映画批評家協会が主催するディナーが昨日ニューヨークのCiprianiで開催されました。
会場に到着したウォン・カーウァイ。ドイルと熱い抱擁〜。配給元のSony Pictures Classicsのトム・バーナードとマイケル・バーカー社長らといっしょに出席。「2046」は、外国語映画賞と撮影賞を受賞。著名批評家が選ぶ今年の10本がオスカーノユクエで紹介されてます。ほとんどの批評家がアカデミー会員の方でしょうから、技術系部門でのノミネートなら、可能性もあるかも?確か「lovers」は「2046」と同じく、アメリカ配給元がSony Pictures Classicsでしたが、撮影賞でチャオ・シャオティンがノミネートされてましたっけ。アン・リーの新作も楽しみです。

「The Lady From Shanghai」

t43em6m46y2006-01-08

nancixさんのところでシャロン・ストーン/WKW監督によるDiorのコマーシャル・サイト(日本語)を見ました。ウォン・カーウァイの文字とともにジャン・バプティスト・モンディーノの文字が。モンディーノといえば、長年ファッション・広告業界だけでなくマドンナやビョークのヴィデオ・クリップなども手がけてきたイメージメーカーですが、wkwといったいどんなコラボレーションしたんでしょうね。
それはそうと、「The Lady From Shanghai」でのニコール・キッドマンの相手役がいまだ決まってないみたいですが・・・。ニコールの写真見るとなかなか決まらないのもうなずけたりして・・・。だってニコールってば現在お付き合い中のカントリー・シンガーのキース・アーバンと並んでても、こ〜んなに差があってこ〜んなにデッカイ人なんですもん。アジア人でバランス的にニコールと釣り合う役者って限られてきますよね。この映画の海外セールスはこれまでwkwの作品を販売担当してきたフォルティシモ・フィルム・セールスではなく、STUDIO CANALが担当してるようです(製作にもかかわってる?)。そのSTUDIO CANALが製作にかかわった「戦場のピアニスト」(2002年カンヌ・パルムドール受賞、アカデミー賞監督賞・主演男優賞受賞))よりも「The Lady From Shanghai」は売れてるみたいですが。バジェットも$15mとか$25mとか?とにかくいろいろとデカいようですね、この映画。近々撮影が始まるとかありますがどうなんでしょうね。ニコールはこちらも遅れに遅れてるバズ・ラーマンの新作が今年後半に開始されるとしたら、今撮っておかないとまた時間が・・・。トニーのカンフーもどうなってるんでしょうか・・・。

カンヌ審査員長

t43em6m46y2006-01-05

いや〜楽しみですサーチナ・中国情報局の記事で、2000年に『花様年華』が米国で興行収入270万ドルを達成したとあったけど、確かにウォン・カーウァイは、アメリカでも数少ない外国語映画でヒットを見込める監督と見られているようです。パラマウントの重役らしき人が、「ミハエル・ハネケの『Hidden』がどんなに素晴らしい映画でも、アメリカではヒットは難しい。ただしごく少数の、ネームバリューを持つ個性派主義の映像作家たち、アルモドバル、カーウァイ、パトリス・ルコントの外国語映画は、僅かながらも私たちに利益をもたらす。」と述べてます。 『2046』は意外にもアメリカでは好評価のようですしね。『The Lady from Shanghai』もカーウァイの作家性を尊重して、ゆるゆるの契約みたいですし。とらバターさんのところで、 王家衛がDiorのCMをシャロン・ストーンと合作してたのを知りました。これって以前噂のあった、ダリウス・コンジ撮影のCMなんでしょうかねぇ。ダリウス・コンジは確か何年か前のフランスのインタビューで、「カーウァイとは一度会っただけなんだ。『The Lady from Shanghai』のために、ショーン・ペンなど大物俳優が出演するビッグなプロジェクトを断わざるをえなかった。なのに撮影は始まらなかったんだよ(笑)」とか言ってたような記憶があります(苦笑)。

Brains of Wong Kar Wai’s Creatives

ウィリアム叔父さん

日本語で読める貴重なウィリアム・チャンのインタビュー。
河出書房から出ている「+81」のVOL.30/WINTER 2005。今号の特集は、「アジアン・クリエイティヴ:香港の‘今’」。様々なジャンルで活躍するクリエーターたちを紹介。香港デザイン界で大きな影響力を持ち、ワダエミとコラボレーションもしているJoel Chu(GiGiのArt Directorなども務めている)や、WKW(ウォン・カーウァイ)の大ファンだというフランスのMarc&Chantal Design、「ドラゴン・ヒート」でエリック・コットに出会い、彼のDouble X Workshopで働き始めたという日本人フォトグラファー・花坊さんなどをとりあげている。そんな中、「Brains of Wong Kar Wai’s Creatives」というタイトルで、WKWワールドに欠かせないアーティスト、ウィリアム・チャン、クリストファー・ドイルウィン・シャのインタヴューが掲載されている。ウィリアムのインタヴューは、シャイで写真を撮られることが苦手な彼の指定で、思いきり暗い場所がいい(笑)という理由からマンダリン・ホテルのカフェで行われたそう。映画界に入るきっかけから撮影開始までの作業行程について、インスピレーションの源について語っている。気になったのが、インスピレーションに関するくだり。「それは、見つけようとするのではなく、ただ待つだけ」「そしてある瞬間、それは突然やってくる。(中略)その映画のコンセプトやストーリー、耳や目にした様々なことを頭に入れたら、ゆっくり周りを見渡す。すると、あることが映画のアイデアにぴったりくる。そこをつかめばあとは具現化していくだけ。そこからは早いですよ(笑)」と。・・・どうやら毎回時間がかかるのは、WKWだけがゆっくりしているわけではなさそう。WKWが何をしたいか、何を言っているかは、「時々わかったような"フリ"をしている」と。WKWの撮影現場については、「参加する人間は彼の現場のやり方を理解することが必要」だと。「ルーズだが、非常に面白いやり方」「映画でこの方法をとれる人は限られるでしょうが、何かを創り上げるためのアプローチとしては、理想的だと思います。」と、とっても貴重な発言をしてくれてます。おそらくもう少し長かったであろう今回のインタヴューですが、もっともっと読みたい、ウィリアムの話を聞きたい!と思わせる内容になってます。ドイルに関しては日本でも御馴染みなのでここでは省きますが、もう一つ興味深かったのがウィン・シャのインタヴュー。WKWの映画に初めて参加したのが「ブエノスアイレス」で、その時は複数のカメラマンが同行したが、ウィン・シャの写真が採用され、次の「花様年華」では、カメラマンはウィン・シャ一人になったそう。WKWからは、「テクニックではなく、彼のフィーリングを学んでいるのだと思う」と。・・・そうです。私がなぜWKWの映画が好きかというと、まさにそのフィーリングなんです。ドイルとウィリアムに関しては、彼らの他での仕事っぷりは当然素晴らしいものですが、やはりWKW映画での彼らの仕事っぷりが一番好きなのです。けどけど、次回作って撮影ドイルじゃないみたい?それならリー・ピン・ビン希望!って、既にD・フィンチャー「セブン」の人に決まり?そういえばWKWとは前に一度会ったという記事をどこかで見かけたような・・・。さてどうなるんでしょう。



ところでしばらくぶりの更新です。昨年のカンヌで「2046」の上映が無事?終わったあと、疲れちゃったんです。妊婦の身体にムチ打って夜な夜な海外サイトを巡る毎日・・・。身体にガタがきました(苦笑)。中の人に栄養をどんどん持ってかれてた時期で、とにかく眼が何やっててもすぐ疲れてしまい、産後しばらく経ってもほとんどTVさえ見ない生活でした。そんなわけで、1999年から待ち続けた「2046」がついに日本で公開された昨年冬も、我が身は臨月真っ只中。映画館で破水しちゃっても困るし、余裕なしで、結局いまだに見ていません(苦笑)。そんなヘタレなWKWファンですが、今後も気になるニュースや、新作について動きがあった時は、不定期ながらメモのごとくアップしていきたいと思います。m(_ _)m

ISTITUTO LUCE

2046

イタリアの配給会社 ISTITUTO LUCE の今年のカンヌ出品作品ページ内に『2046』のサイトが登場。’98年のカンヌでパルムドールに輝いたテオ・アンゲロプロスの『永遠と一日』で、パラディ・フィルム(フランス)のエリック・ユーマンらといっしょにプロデューサーを務めたアメディオ・パガーニのインタヴューが掲載されています。