カンヌ オープニング・セレモニー

t43em6m46y2006-05-20

今年も始まりましたカンヌ。審査委員長も15日にカンヌ入りして用意されたCarlton hotelに宿泊のようです。今年の祭典のポスターは、『花様年華』のチャイナドレスのマギー・チャン。マギーのしなやかで美しいシルエットが、あちこちに掲げられている様子です。


審査員のみなさんが到着。レッドカーペットを通って入場します。セレモニーの司会を務めるヴァンサン・カッセルは白のダブルのスーツが眩しくてなかなかセクシー。これを着こなせるのはフランス人かイタリア人くらいでしょうか。これまで司会は女優陣が務めてきたのもあって、ご本人も光栄かつ緊張気味のご様子。いろんな国の言語で短めの挨拶をする、なんてところがステキです。で、梅林茂さん作曲の「2046」のテーマ曲とともに、審査員のみなさんがひとりづつ登場。審査員席の頭上には、「2046」で登場人物たちがそれぞれ物思いにふけるホテル屋上のオリエンタル・ホテル東方酒店のネオンが!これ、香港から輸送したんでしょうか。

そしていよいよウォン・カーウァイ登場です。フランス語で軽く挨拶をして、英語でも会場のみなさんにご挨拶。そして中国語でアジアの方たちのために挨拶をしました。「審査委員長を務められて大変嬉しく光栄に思います。今回私は審査委員長を務めるわけですが、この栄誉はわたし自身の栄誉ではなく、中国、アジアを代表する映画業界・作家たちのものであり、彼らの代表としてやって来ました。」(場内拍手)たぶん内容はだいたいですがこんな感じでした。

そしてここからは英語でスピーチです。「どのような国に対しても既成概念なく公平に審査したいと思っています。わたしたち全員がここに集まっているのは、才能を持って映画を作る人々を評価しているからです。わたしたちが求めるものは、わたしたちを感動させ、わたしたちに動機を持たせ、そしてわたしたちの生活の基準を切り開いてくれる(?)映画であります。多くの仕事があるでしょう。かなりのプレッシャーを受けるでしょう。けれどもそれと並行して、わたしたちはこの審査をするという仕事において、大きな喜びを得ると確信しています。ですからわたしたち全員また11日後にお会いしてわたしたちの決定結果をお知らせしたいと思います。」
ここで、カーウァイに敬意を表してスクリーンに「2046」のフェイ・ウォンが映し出され、歌劇「ノルマ」の「清らかな女神よ」が流れ始めます。
シーンは、日本人の恋人との仲を、ホテルの支配人である父親に反対された娘フェイが、彼を想ってオリエンタル・ホテルの屋上で月光を見上げながら物思いにふけっている場面です。大音量で流れるオペラの音に苛立つ作家トニー・レオンは、従業員に「支配人に音量を下げさせろ」といいますが「ご自分で言ってください」と言われ、支配人室に向かいます。が、部屋からは日本に帰国したはずのフェイの恋人が戻ってきたことで、彼に会ってほしい娘と、日本人の恋人なんかには会わないという父親の口論が聞こえてきます。部屋の外ではソファに腰掛けた木村拓哉演じる日本人の恋人が茫然と一点を見つめて待っています。バックに流れるオペラの独唱が入るのですが、なんとここでソプラノ歌手アンジェラ・ゲオルギュー本人が「清らかな女神よ」を歌いながら登場。「カスタ・ディーヴァ〜〜〜♪」と壇上のカーウァイを見つめ、そして客席に向かって悲恋の歌を歌います。

前にもシルクド・ソレイユを登場させたりと、カンヌは粋な演出をしますね。スポットライトが彼女とカーウァイに当たり、生歌をバックにスクリーンには、ひとりタバコをふかすフェイが上りたつ煙を見つめます。なんだか少しだけカーウァイがフェイのシーンで「清らかな女神よ」を使いたかったかわかるような気がいたしました。ある意味「2046」ってオペラなんですね。カーウァイも感慨深かったのではないでしょうか。歌い終わったアンジェラと熱く抱擁をしたカーウァイは彼女に「Wonderful!」と言い、席に戻ってサミュエルLジャクソンとハイタッチしてました(笑)。そしてシドニー・ポワチエの開会宣言で今年も映画祭が幕を開けました。

前日の記者会見・写真撮影の様子。コンペ部門に出品の中国映画「summer palace」の上映には奥様を伴ってスクリーニングに向かいました。