『2046』プレス・キット

2046

気になったところだけ・・・

監督のことば
我々全てにとって、記憶や考えやひらめき、そして希望や夢を隠して保存しておく場所が必要なのだ。こうした事々は、我々が取り除いたりすることのできない、そして同時にそれらを捨ててしまうことを恐れるような類の、言わば私たちの命の一部なのだ。ある人々にとっては、それは物理的に存在する場所で、またある人々にとっては精神的な位相にあって、ごく少数の人々にとってはそのどちらでもない。2046はしばらく前に始まったプロジェクトだ。映画を完成させるに至る旅は波乱に満ちていた。そこにたどり着くには長い時間が必要だった。私たちが大切に保存している記憶のように、そこから離れるのは難しいことなのだった。

あらすじ
彼は作家だった。彼は未来について書いているのだと思っていたが実際にはそれは過去についてのものだった。その物語の中ではミステリアスな列車が時々2046に向かって旅立つ。2046に旅立ったものたちは皆同じ目的を持っていた、失われた記憶の回復という。2046の世界では何一つ変わることがないという噂だった。その噂が本当なのかどうか誰一人知らなかった。というのはたった一人を除いて、2046から帰ってきたものはいないからだ。彼はそこにいた。彼は旅立つことを選んだのだった。彼は自分を変えたかったのだ。

PEER RABEN (musicians)
ピーア・ラーベンは1960年代、演劇グループでドイツの伝説的な映画監督ファスビンダーに出会って創作を開始、彼のほとんどの作品でスコアを書いた。「マリア・ブラウンの結婚」などで彼の音楽や編曲を聴くことができる。2003年ベルリン映画祭は、彼のドイツ映画への類まれなる功績を讃えベルリナーレカメラ賞を贈った。彼はもう30年来ベルリン映画祭のオープニングに使われている曲を作曲した人物でもある。

KWAN PUN LEUNG 關本良 (cinematographers)
様々なメディアで活躍するアーティストとして彼はまず、スタンリー・クワン監督の「ホールド・ユー・タイト」で撮影カメラマンとしてデビューした。その後同じくスタンリーの「異邦人たち」やアン・ホイ監督の「男人四十」と「Goddess of Mecy」の作品の撮影もした。自分自身の作品世界を追究しながら、彼はブエノスアイレスのメイキング「Buenos Aires Zero Degree」を共同監督もしている。

LAI YIU FAI 黎耀輝 (cinematographers)
彼は香港映画界のトップカメラマン、クリストファー・ドイルアンドリュー・ラウという二人のアシスタントとしてキャリアを開始した。彼は1999年のカンヌ映画祭コンペティション部門においてユー・リクウァイ(余力爲)のデビュー作「天上の恋歌」のカメラマンとして喝采を浴び、ストックホルム映画祭で撮影賞を受賞した。これに続く彼の撮影監督としてのキャリアは、アンドリュー・ラウアラン・マックの「インファナル・アフェア」で、これにより香港金像賞でノミネートされた。そして、2003年カンヌ映画祭ある視点部門で上映されたユー・リクウァイの「all tomorrow's parties」がある。

ここではないどこか、今ではないいつか・・・

2046

この2年来カンヌでは、wkwのエキサイティングな新作が、2004年のカンヌにおいて最も強く待ち望まれた作品であるということが繰り返し告げられてきた。『花様年華』の国際的な成功のあと『2046』はwkwにとってエリック・ユーマンとマルク・シラムによって導かれたパラディ・フィルムとの2度目のコラボレーションである。幅広くつつましく野望に満ちたこの映画会社は1984年に創設され、1998年以来「マルコ・ベロッキオ」「ミレニアム・マンボ」などを製作・配給してきたオーシャン・フィルムと手を組んだ。エリックとマルクは『2046』のプロデュース経緯をジャック・マンデルブームに語った。

wkwとの出会いについて。

エリック:彼と知り合いになってから7年が経つ。まだブリヤ・サヴァランの本、性と食についての3つの物語の脚色とみなされ、『花様年華』とは呼ばれていなかった映画の資金のため、彼はたまたまパリにいた。1作前の『ブエノスアイレス』はフランスでは失敗であった。彼はあいまいでシナリオのないプロジェクトをいくつかのプロダクションにプレゼンテーションして断られていた。私たちは、にもかかわらず彼が滞在していたホテルに彼を探しに行った。彼は我々にとって非常に魅力的なプロジェクトを話した。

花様年華』の製作はどのように進んでいったのか?

エ:その方法は『2046』と同じように混沌としたものであった。そもそも映画を設計する方法とは最初は単純でもあり間違いの多いものだ。まず制作とはアイディアから始まりそれを見つける過程でフィーリングが見出される。この暖められたアイディアがめぐりめぐって少しずつリアルなフィーリングになっていく。

2046について。

エ:小説家トニー・レオンの書くこの本は、コン・リーにとってかわられたマギー・チャンの役以外の、『花様年華』の中で古い愛の破綻を経験したキャラクタートニーの心を知る作品である。観客は現実とフィクションが交じり合うこの2046号室、実際にはあの時あのカップルが訪れたこの部屋のことを知ることになる。

本当に観客がこの部屋のことを理解するような作品であることに確信はありますか?

マルク:主題というものは1つに限定した時点で陳腐になるものだ。それはしてはいけない。それはダメージとなる。したがって私たちが話している間彼は何も言わなかったし変わってもいなかった。というのは撮影は、終わってはいなかったのだから。

エ:おそらく大きなあらすじというのはなかったのだろう。カンヌでの1週間前『花様年華』のエンディングは3種類あった。そして全く違うラストになった。しかし、スピリットは変わっていない。『2046』は失われた「ここではないどこか、今ではないいつか」というアーティスティックな探求の痕跡を残した作品になるだろう。それはプルーストが求めていたような叙情である。そしてそれは西洋的な時間や空間の認識とは全く異なっている。 
(*確かプルーストは、匂いや記憶から紐解いて、ひとつ思い出すと自分の人生の時間や大切な記憶とかを30個くらい思い出すような、意識の流れそのものを新しいやり方で描こうとしたフランスの作家です。未完の大作『失われた時を求めて』というのがあるらしいです。)

彼が俳優と仕事をする方法を話してください。

エ:この作品の撮影に参加しているいつものメンバーには、とても親密な宇宙の狭い空間でその大きな力が働いている。

このような規模の予算の計画はどうやって立てるのか?

マ:1400万ユーロの予算で、国際的な会議をする必要のあるものだ。フランスが中心となっていて、とりわけFrance 3やArteなどのTV放送網の提供もあり、wkwの会社の仲介による香港経由の参加などが主立っている。そしてイタリア、日本とドイツ。これはトニー、コン・リー、マギーなど最高級の役者を見せ、とびきりの成果を出す必要がある。すべては並外れた規模のもである。

エ:しかしこのタイプの外国映画というのは、あるプロデューサーたちとフランスの配給者たちの間に、アーティスティックで経済的なプラスな共同作用があったのだ。


(*元記事がどこか分からなくなってしまいましたが、映画祭開催中にフランスのメディアにアップされたインタヴュー記事です)

2004オープニング

2004

いろいろとニュースが入ってきているようですが、どうやらフェイ・ウォン昨日の夜タイから香港に帰ってきたようです。木村拓哉がタイに行っていたという噂もありますが公表されてないので真実かどうかはわかりません。日本にいるチャン・ツィイーはインタビューで『2046』が中国国内の審査を通過したことを喜んでいました。そして16日に東京からカンヌへ向けて出発するそうです。

wkwは、カンヌ前の最後の最新インタビューに答えて「4年間みんなを待たせただけの甲斐はある作品になっている」と語っています。フランスの映画専門誌「カイエ・デュ・シネマ」のカンヌ特集号では、『2046』にもスポットをあてカンヌ選考委員のインタビューを載せています。彼らは完成された『2046』を見ていなくて、しかしながらwkwの用意した数シーンを参考にし、過去のwkwの作品のレベルと考え合わせてノミネートの運びとなったということです。


昨日のオープニングで最も気になったのは、タランティーノがVIVA CINEMA!!と叫んだことではなく(こんな人いませんよ〜。笑)ソフィアと本当に付き合っていたということ(笑)。これはwkwにとって有利に働くのかどうか。きっと時間があればソフィアもカンヌで『2046』を見ていくでしょうから感想ぐらいはお互い話すと思うのですが。ちなみにwkwが監督賞受賞したときは、当時タラと付き合ったいたらしいミラ・ソルヴィーノコン・リーが審査員のメンバーでした。もうひとつ、気になったのはツイ・ハークのこと。実はタラよりもこの人が『2046』をどう評価するのか、が重要な鍵を握っているようないないような・・・。今までのwkwの作品をどう思っていたのかが気になります。知りたいです。

思うに2000年から「2046がカンヌを第一選択として目指してくれさえすればいいのです」と待ち続けてきたジル・ジャコブらは、wkwは自分たちが発見したという自負があるでしょうから(映画祭にはそういう役目もありますしね)ここらでやはり『2046』に大きな賞を、と思っているはずです。得てして狙いとは外れるものですが、そんな狙いもある中、審査委員長にタラを抜擢したのかなと。それと、中華圏からもツイ・ハークを招いたのかなと思うのですが。そう考える理由のひとつに、近年振り返ってみるとアジア人で審査員メンバーになった人はカンヌでコンペ入選経験のある監督か、出演経験のある俳優だったりするのです。もちろん中にはスケジュールが合わなくて断ったという人もいるでしょうが・・・。2003年は、2001年に『鬼が来た!』でグランプリを受賞したチャン・ウェン。2002年は、2000年の招待作品『グリーン・デスティニー』に出演したミッシェル・ヨー。2001年は、2000年に『ヤンヤンの夏休み』で監督賞受賞したエドワード・ヤン。1997年には「活きる」のコン・リー(それにしても日本人は審査員メンバーに入っていませんね)。ツイ・ハーク知名度はあるとは思いますがカンヌとはあまり縁のない人だと思うのです。単なる都合のいい解釈になっていますが(笑)。さてさてどうなるやら・・・。

毎年似たようなことを言っていますが、今年は1つの作品に重要な賞が重ならないよう配慮するようです。特に今年は若手をプッシュしていきたいようですから。

フランスの配給会社でのクレジット

2046

Sound designer ... Claude Letessierとあります。この人とは『eros』や『the follow』でもいっしょに仕事をしてきています。お気に入りなのでしょうか。もうひとりのSound designer ... Tuu Duu-Chih(杜篤之)は、2001年のカンヌ映画祭で台湾映画の『Millenium Mambo』と蔡明亮の『NI NEI PIEN CHI TIEN』のサウンド・デザイン技術で最優秀審査員技術賞を受賞した録音技師です。おそらくその年の審査員メンバーにエドワード・ヤンがいたので彼の推薦があったのかもしれません。この時は代理でスー・チーが壇上に上がって賞を受け取ったのですが、彼女は緊張していたのかタイミングを逃してしまったようで代理スピーチをすることもなく終わってしまいました。せっかくの台湾映画に対する賞だったのでホウ・シャオシェン監督に代理スピーチをしてもらいたかったです。ただカンヌでのスー・チーは評判も良くウィリアム・チャンによるチャイナ・ドレスも美しく、一際目を引いていたのでホウ・シャオシェンが彼女を前面に出すほうが作品のためには良いと判断したのかもしれません。

キャストで気になったのは、やっぱりカリーナ・ラウのLulu / Mimiです。『欲望の翼』ですか?いったいどういうことなのでしょう!あとTrain CaptainのWang Sumって誰ですか?どなたかご存知ないでしょうか?まさか『花様年華』のトニーの同僚で本当は小道具担当のスキンヘッドのおじさんではありませんよね。うーん謎です。そのほかcc1966とか未来的で気にはなるのですが、やっぱりちょっと感激だったのが、あのBirdの名前があったことです!wkwはそうするんじゃないかと思っていたのですが、この事ご本人やファンの方は知っているのでしょうかね・・・。

カメラマンとエディター、そしてファイナル・プリント

2046

AlloCineを見ていると『2046』のフランス人とのコラボレーションに関する記述があります。長年に亘って『ポンヌフの恋人』などのカメラマンとしてレオス・カラックスとコンビをくんだ後にハリウッドへ渡り、ニコール・キッドマンアンソニー・ホプキンス主演の『白いカラス』が遺作となったJean-Yves Escoffierに代わってなのか、『ポーラX』のカメラマンのエリック・ゴーティエがチーフ・オペレーターとして参加しているということです。彼はJean-Yves Escoffierがハリウッドに渡ったあとのレオックス作品でカメラマンを担当していて、オリヴィエ・アサイヤスともよく仕事をしています。『イルマ・ヴェップ』や今回カンヌに出品している『Clean』とヴァルテル・サレスの『The Motorcycle Diaries』、現在日本で公開中の『ゴッド・ディーバ』のエンキ・ビラルのSF作品『ティコ・ムーン』も彼の撮影によるものです。

イタリアのサイトではエディターとして、ウィリアム・チャンとジャコポ・カドリの名前があります。ベルナルド・ベルトルッチの近年の作品やチャン・ユアンの「ただいま」の編集を担当しています。


カンヌで今年セレクトされたフィルムは、遅くとも5月8日には映画祭本部によって信用された海運業者の手に渡らなければならないのですが、毎日新聞によると「7日夜、フランス政府の失業保険制度改革に抗議する演劇人グループが出品予定の映画作品の輸送を一時、妨害した」とあります。関係者は冷汗ものだったでしょう・・・。

ソワレの1日、『2046』のチャン・ツィイー

2046

昨日は、もしかするとフェイ・ウォンが主演女優で・・・なんて書きましたが、このチャン・ツィイー、かなりいい雰囲気を醸し出しています!

通常、正式上映の1日は、朝8:30のプレス・スクリーニングから始まります。上映終了後、お昼前からPress Conference(公式記者会見)とPhoto Call(公式写真撮影)が行われます。そして夜7:30からソワレと呼ばれる正式上映が始まります。その後はパーティです。

20日は『イノセンス』が2回、『2046』が3回の上映です。『2046』は、その日1日のメインでもある時間帯、夜7:00からがソワレとなっています。

『2046』のフェイ、フランスサイト

2046

香港のorientaldailyによるとフェイ・ウォンは、タイから今晩台湾で開催される金曲賞に出席し、翌日またすぐタイに戻って引き続き『2046』の撮影を行うとあります。

『2046』の新スチールがまた出ましたが、群像劇とはいえ今回のフェイはおそらく主演女優にあたるのではないかと・・・。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のビョークじゃないけどカンヌで女優賞を受賞なんてこともある?

フランスのyahooのパルムドールを受賞する作品の予想サイトでは、今のところ『2046』がNo.1になっています。
好きなスターでは、男優の中でトニー・レオンが9位、女優の中でマギー・チャンが10位になってます。監督の中ではwkwが9位でタランティーノが1位になっています。wkwは今頃「締め切りまでまだ1週間あるよ」なんて言ってるんじゃないかと・・・でも前作の『花様年華』がソワレの3日前に完成したのだから今回も大丈夫でしょう。