チャン・ツィイーによると

2046

、「2046」のパーティに出席して、コン・リーと隣同士に座っていろいろ話をしたそうですが、コン・リーに励みになる言葉をかけてもらって、非常にうれしかったとコメントしています。マギーがいなかったらツィイーが受賞してたかもしれない「2046」。チャン・イーモウも彼女の成長振りを褒めていたようです。ウィリアム・モリス・エージェンシー(世界で最も古くて大きいハリウッドの大手エージェンシー)がエージェントを続ける限り彼女はますますステップアップしていくでしょう。2001年のMTV MOVIE AWARDに出席した時の彼女はほんとうに英語ができなかった。アメリカの若者たちの投票によって決まる映画の祭典で、「グリーン・デスティニー」のツィイーは「グラディエター」のラッセル・クロウや「ロミオ・マスト・ダイ」のジェット・リー、「チャーリーズ・エンジェル」のドリュー・バリモアを退けて、BEST FIGHT賞を受賞しました。その時のスピーチは何とか丸暗記した英語でコメントをしていたけれど、その後の舞台裏でコメントを求められた時は緊張のあまりか自分がもらった賞をベスト・ファスト賞と言ってしまいジャッキー・チェンに突っ込まれる始末。昨年のカンヌではニコール・キッドマンにもう少し英語の勉強をがんばってとアドバイスされてました。「HERO英雄」で共演したマギーはツィイーはいつも英語を勉強していたと話してました。そんな彼女が今回会見で通訳をつけずに頑張っていたのには感心しました。レッドカーペットでもしっかり英語で答えていたし、たとえ流暢でなくてもその言語で話そうとする、コミュニケイトしようとする姿勢を人はしっかりと見ているものです。ガッツのある彼女は、今後も益々飛躍していくでしょうね。

'99年のカンヌ映画祭では、パルムドールはアルモドバルの『オール・アバウト・マイ・マザー』が取るとの呼び声が高く、事実批評家たちから高い評価を受け、キャリアの集大成とも言われていました。しかし、審査委員長のクローネンバーグが選んだのはダルデンヌ兄弟の『ロゼッタ』。おまけに主演女優賞に輝いたのは、映画初主演ながら少女ロゼッタ役を演じたエミリー・ドュケンヌ、18歳。このとき有力視されていたデビッド・リンチアトム・エゴヤンジム・ジャームッシュたちの作品は、すべて受賞からもれる結果となり、パルムドールのプレゼンターとして登場したソフィー・マルソーは酔っ払っていたせいか壇上で今年はもっといい作品があったのにと不満を述べはじめ、司会のクリスティン・スコット・トーマスに窘められるといった場面もあったのです。そして監督賞を受賞したアルモドバルはどうでたかというと、パルムドール受賞会見場に乗り込んで不服を述べたのです。自分たちの会見だというのにダルデンヌ兄弟は険悪な空気のなか退席しました。それ以来、プレゼンターとして式典に出席したりはしていたものの、アルモドバルはカンヌに対して拒み続けていました。そして関係修復を図るため映画祭側がスペイン映画としては初のアルモドバル作品を今年のオープニング作品に選んだのではと言われました。このアルモドバルの『オール・アバウト・マイ・マザー』は2000年のアカデミー賞外国語映画賞を受賞し見事リベンジを果たしました。『ロゼッタ』は若者の閉塞感をしっかり描いた作品でエミリー・ドュケンヌもとてもいい。が、しかし、個人的にはパルムドールは『オール・アバウト・マイ・マザー』がとるべきだったし、主演女優賞は母マヌエラ役を演じたアルゼンチンを代表する女優のセシリア・ロスがとるべきだったと思います。そして時には、その世界において実績のある制作者というのは、全くのゼロから歳月をかけ心血注いで作った作品に対してしっかりした態度を取るべきであり、時にははっきりと発言するべき瞬間も必要だったりするのでしょう。もし本当に割り切れるというのならそれは趣味でしかなく、そうではないのなら次回作でまた一段上のものを目指して創り続けていくのでしょう。

カンヌも終わり

やったね〜マギー!

ここ何日か睡眠時間が激減していて山のようにあるレビューも一部を読むのが精一杯。今年のカンヌは予想以上に面白かったです。去年と同様政治色の強い年にもなりました。昨年下馬評でダントツだった「ドッグビル」が無冠に終わり、今年Screen Internationalの星取り表ではダントツだった「2046」や「モーターサイクル・ダイヤリーズ」も無冠に終わりました。「ボーリング・フォー・コロンバイン」がカンヌのコンペでドキュメンタリーとしては確か40年ぶり?に選出されたのが2002年。その年の審査委員長デビッド・リンチカンヌ映画祭55周年記念特別賞だったかを急遽設置して受賞しました。「レザボア・ドッグス」ばりのバイオレンス・アクションでタラ好みと評判だった「オールド・ボーイ」がパルムドールかとフランス・ヤフーでも記事になっていたのでもしやと思っていたけれど、ドキュメンタリー映画パルムドールが与えられました。カンヌ史上最高の25分間のスタンディング・オベーションで評判もかなり高かったしタランティーノ←ハーヴェイ・ウェインスタイン→マイケル・ムーアとくれば当然だったのかも、名前を読み上げられたときのマイケル・ムーアの表情がいい!アメリカの選挙よりも前に日本で見たいです。昨年と違うのはやはりアジア勢が4部門で受賞したことです。グランプリを受賞した「オールドボーイ」は演技派チェ・ミンシクの主演。「シュリ」北朝鮮兵士役で日本でも注目れ、2002年に韓国人として初めてカンヌで受賞したイム・グォンテク監督の「酔画仙」でも主演しています。当時の授賞式では監督のスピーチを聞きながら感極まって泣いていたのが印象的でした。「2046」のチャン・ツィイーも最後まで食い込んだらしい主演女優賞が「Clean」のマギーに与えられたのは嬉しいかぎり!こちらのカンヌレポートでもマギーは良かったと書かれていました。レッド・カーペットに「2046」や「モーターサイクル・ダイヤリーズ」組が現れなかったのでその時点で受賞はないと思ってましたが、まさか主演男優賞が日本の中学生の男の子に与えられるとは!今回1番のサプライズ&ちょっと感激しました。トニーやガエルはこれからも益々活躍していくだろうしまたチャンスがあるでしょうから。ある意味日本人の俳優部門の初受賞がこの最年少の男の子に与えられて良かったように思います。タイ映画「トロピカル・マラディ」も「オールド・ボーイ」も日本で早く見たい。こちらとしてはどの映画もまだ見れていないぶん星取り表とは別の予想もまたなかなか興味深かったです。しっかり柳楽優弥くんを主演男優賞に上げている人もいました。


今のところ出ている「2046」フランスでのレビュー。まだまだ増えてくると思います。(星4つが最高)
L'Humanite ☆☆☆☆
Telerama ☆☆☆☆
Le Monde ☆☆☆☆
Zurban ☆☆☆
Liberation ☆☆

La Palme :『2046』

cannes2004wkw

France 3 より〈Depuis Cannes:Jacky Bornet Publie le 21/05 a 11:12〉
勝利 :『2046』
5月12日以来の一連のできごとは2046にパルムドールが与えられるということを示している。その迷宮の中では、フィルムのタイトルがその年そのものを現すのかそれともホテルの部屋の番号を示しているのかわからず、全ては鏡の世界の中にある。観客はその映画作家が前作以来洗練されたことがわかっている。コッポラやポランスキーに続く存在である。(略)うっとりするほどに崇高なフィルムに高められた「2046」。この映画は催眠術的でノスタルジックでしかも覚醒している。「2046」は映像詩である。この映画にあるのは、クリス・マルケルの「ラ・ジュテ」やアラン・レネの「去年マリエンバードで」の中に根付いているのと同じ儚さである。この映画の儚さは、アラン・レネの「ジュテーム、ジュテーム」「ヒロシマ・モナムール」以上である。フランス映画の過去60年において、日本の鈴木清順の作品などは、現代に作られた「2046」の一部のように思えてくる。作品内の経験の多様性の中に、鈴木とwkwの相似性、例えば意義のある未来への志向性や粘り強さや誠実さを見てとる事ができる。愛の放蕩を尽くすトニー・レオンは複数だがただ一人の女を求めているのである。この映画の全編に亘って映っているのは、”その女”にほかならない。愛しているという言葉そのものの中で、主人公は、愛によって隔てられた時間の境目で金縛りにあっている。「ラ・ジュテ」も、タルコフスキーの「ソラリス」も語ることのなかった主題を、wkwは完璧な形で再現する。なんというイメージ、なんというストーリーとリズムと音響、そしてなんという美と調和。まるでスクリーンに映し出された2001年の愛のようだ。
カサンドラ(破滅を予言した王女)が審美的な叫び声をあげる。高度な洗練という点においては、「2046」は大変なものである。しかしまた、なんという巧みさ。一コマ一コマが絵画であり、3部構成の(アベル・ガンスを思い起こすがいい)驚くべき立体感を持ったその物質の中に入っていくことは、贅沢な経験だ。wkwは変わらない物語を語るということを革新した。審査の模様から、「2046」が勝利を逃すような様子はうまく想像できない

レッドカーペット登場!&またもや遅刻!

き

AP通信17:00(現地時間)の配信ニュースで記者の質問に、エリック・ユーマンは「上映の2時間前にフィルムは着くはずだ」と答えています。お、恐ろしい。
これまでもカンヌの歴史ではフィルムの遅れはあったということが書かれていて、コッポラの「地獄の黙示録」やローランド・ジョフィの「ミッション」、キアロスタミの「桜桃の味」も完全版ではなかったがカンヌで賞を受賞したとあります。
無事上映されれば今後france3ARTE あたりにレビューが出てくるはずですが。「甲殻機動隊」を見てないと分かりにくいとは思いますが、「イノセンス」は映像や技術は素晴らしい、だが物語を語れていないなど結構厳しいことを書かれています。


審査員のキャスリン・ターナー.やツイ・ハーク夫妻、フランスのテレビ・パーソナリティのDaniel Lumbrosoやトマ・ラングマン(仏俳優)、アンジーエヴァーハート、「サム・サフィ」のオーレ・アッテカ (仏女優)、アナ・ムグラリス(仏女優)、が「2046」の正式上映のためレッドカーペットに続々と登場し、その後はトニーたちの登場。監督もウィリアムも。トニー、コン・リーさすがです。役者たちは笑顔。マギーとフェイがいないのが寂しい限り。

めざましTVによるとスタンディング・オベーションが15分続いたとか。今回評判の良い是枝監督の「誰も知らない」5分間だったようですが、さて。

プレス試写は3回行われたそうですがそれでも入りきらなかったようです。それとマギーのシーンがなかったそうですが一体??? 上映後の現地の観客のコメントをお昼前のニュースで流していました。「とても特別な作品で今まで見たこともないような映画だ」、「ストーリーも映像も音楽も素晴らしい」など。難解で複雑だ、これまでで最高の作品(今回のカンヌにおいて)などなどチラホラ出始めています。映画は、出番は10分ほどと言われているTakの独白から始まるそうです。

どうなる?

イーモウたち

第57回カンヌ国際映画祭の参加者たちがパルムドールの有力候補と目している香港の映画監督wkwの「2046」は木曜の夜の上映までに最後の準備を終えなければならない。水曜のフィルムコピーの輸送の実際の遅れにより、木曜に予定されていたプレスおよび一般向けの最初の試写は延期された。2000年のカンヌで上映されたwkwの前作「花様年華」以来、そのときと同様に、「2046」が2003年のカンヌか、あるいは昨年秋のベネチア国際映画祭に出品されるのではないかという出品時期をめぐる噂が絶えなかった。監督自身の希望による脚本や編集における数々の変更、最近のSARSや苦難があった。・・・etc (略)AP通信より


ところで間に合ったみたい?
完成して上映さえ無事に終わればもう充分ですから。
まちょっと気を取り直して、18日の時点でのパルムドール受賞予想サイトでは、『Fahrenheit 911』16,01 % 次いで『2046』12,18 % 『The Edukators』 11,95 % となってます。昨日上映された『Motorcycle Diaries』の評判が非常によくヴァルテル・サレスはカンヌのお気に入りでもあるし、主演のガエルは今回審査員のティルダ・スウィントンのお気に入り。何か賞を受賞しそうです。
昨日は『House of Flying Daggers』のプレミアでしたが、このチーム見てるとなんだかホッとします〜。タランティーノも見に来てました。

20日の上映変更スケジュール・・・明日はどうなる?

2046

最後の最後までやってくれます。とにかく正式上映(ソワレ)だけでもなんとか間に合いますように・・・。もうこうなったら完成するだけで充分です。どうか最後の大詰めに携わっている2046関係者、wkwやトニー、ウィリアムたちが生きてレッド・カーペットを歩けますように。ティエリー・フレモー氏は言っています。「実は、監督の実績などからして未完成の映画を選ぶことはよくあるのです。それは時に、成功もあれば失敗もあります。しかし我々はどこよりも早くカンヌで映画を上映したい。我々は一種の賭けにでるのです。」まさに今回のは賭けですよね〜。
もういったい何をそんなに編集したいのさ!

20日(Thu)
8:30  上映なし     「2046」プレス試写中止
11:30  『INNOCENCE』   予定通り
14:30  『BREAKING NEWS』 「2046」中止のため急遽ジョニー・トゥ 監督作上映
19:00→19:30  『2046』  正式上映・同時にプレス試写も併行して行われる?
22:00→22:30  『INNOCENCE』  予定通り

26日(Wed)
14:30  『2046』  映画祭終了後の26日に上映予定 プレス試写?

カンヌでのWKW作品

2046

振り返ってみました。
1997年のカンヌ映画祭イザベル・アジャーニ(仏女優)が審査委員長、その他の審査員はティム・バートン(米監督)、マイク・リー(英監督)、ナンニ・モレッティ(伊監督)、マイケル・オンダーチェ(「イングリッシュ・ペイシェント」原作者)、作家のポール・オースターミラ・ソルビーノ(米女優)、コン・リー(中国女優)etcでした。監督賞のプレゼンターを務めたのは、ファニー・アルダン。彼女は「監督賞は人生に物語だけでなく魂を描いた監督を顕揚するものです。その賞を授与することは大きな名誉です」とスピーチしました。そして司会のジャンヌ・モローが審査委員長のイザベル・アジャーニに監督賞の発表を促します。そして名前を呼ばれたのは「”Happy Together” a film by Wong Kar Wai」初コンペ出品でいきなりの受賞!壇上に上がったwkwは「謝々」と言ってから少しだけ中国語で挨拶をし(何て言ったのでしょう)、そのあと英語で「I'm very happy and...and Thank you very much!」と挨拶しました。カメラのフラッシュで時おりサングラスから透けて見える瞳は何ともいえない感じで、いつもながらクールだけれどすごく穏やかで嬉しそうでした。それ以上に嬉しそうだったのは、ウィリアム・チャン。自分のこと以上に感激しているように見えました。隣に座っていたトニーの表情はよくわかりませんでした。その後の主演男優賞はショーン・ペンの手に。トニーは惜しくも一票差で敗れたという話です。この年は第50回記念特別賞が用意され、エジプトの監督のユーセフ・シャヒーン彼の全作品に捧げられました。スタンディング・オベーションで迎えられた彼は「47年間待っていたんです。若い人たちへのアドバイスです。”いつかは報われる”」ととても感動的なスピーチをしました。2004年の今年はコン・リーに何か特別賞のようなものが与えられるとか?詳細はよくわかりませんがどのような賞なのでしょう・・・。

2000年のカンヌ映画祭ではリュック・ベッソンが審査委員長、その他の審査員はジョナサン・デミ(米監督)「羊たちの沈黙」、ニコール・ガルシア(仏監督・女優)「ヴァンドーム広場」、マリオ・マルトーネ(伊監督)「戦争のリハーサル」、パトリック・モディアノイヴォンヌの香り」原作者(仏)、クリスティン・スコット・トーマス(英女優)、バルバラ・スコヴァ(女優)「JM」、アイタナ・サンチェス・ギヨン(スペイン女優)「雲の中で散歩」、 アルンダティ・ロイ「小さきものたちの神」でブッカー賞受賞のインド人作家、そしてジェレミー・アイアンズ(英)でした。リュック・ベッソンが主演男優賞は「Tony Leung Chiu-Wai」と発表し、壇上に上がったトニーはプレゼンターのモニカ・ベルッチの両頬にKISSの挨拶をし、「I want thank to WKW and those who love this movie」とスピーチをしました。「花様年華」はそのほかに高等技術院賞も受賞しました。受賞会見でのトニーは本当にエレガントでかっこよく「WKWの作品はとてもスタイリッシュで現代的かつ斬新です。俳優として大変やりがいのある役を演じさせて頂きました」とコメントしました。


審査会場は毎年謎とされてきました。ある年はクルーザーだったり、丘の上のヴィラだったり、審査の直前までわかりません。審査は予想以上に揉めないかぎり、噂では16時過ぎに受賞予定者にパレに来場するよう連絡が入ると言われています。しかしどの賞に該当するかは式が始まって受賞して初めてわかるのだそうです。